遺言書の効力は絶対ではない!内容を考える際の注意点とは


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  • 遺言書の効力は絶対ではない!内容を考える際の注意点とは 2018-05-21

    皆さんこんにちわ。
    京成不動産の渡辺です。

    皆様は、相続対策として遺言は作成されていますでしょうか?
    遺言を作成するメリットは多岐に渡り、その有無が円満な相続の実現に大きく影響を及ぼすこともあります。

    しかしながら、日本における遺言の作成比率は、欧米に比べはるかに低い割合です。
    その原因のひとつに、「遺言の効力」に差がある事が挙げられます。

    欧米において遺言には絶対的な効力が与えられていますが、日本においてはそうではありません。
    遺言とは異なる形での遺産分割が行われる「例外」のケースがあるのです。
    今回は、そんな遺言執行における「例外」のケースをご紹介します。



    ・相続人全員の同意があれば遺言の内容に反した分割が可能

    相続人全員の合意の下に、遺言に反する遺産分割協議を行うケース。
    勘違いされがちですが、相続人の全員の合意さえあれば、遺言に反する遺産分割協議も有効に成立します。
    ただし、相続人全員が遺言の存在を知り、その内容を理解した上で決定された分割協議であることが条件です。
    そして、被相続人が遺言の執行人を指定していた場合、相続人の全員+執行人の合意が必要です。

    遺言を作成した場合、遺産分割協議を行わずに分割方法を決定できる点はメリットになります。
    たとえば、相続人の一人が意志判断能力を欠いてしまったとしても、成年後見人をつけることなく分割を決定できます。

    しかしながら、遺産分割協議自体ができないわけではないのです。
    遺産の分割は相続人の想いがもっとも優先されるべきですが、遺言の通りに分割すると、相続税が過剰にかかってしまうケースも少なくありません。
    そういった際に、相続人全員のもと分割協議が行われ、遺言の内容とは違う分割がされる事は起こりえます。



    ・法定相続人に最低限保障される「遺留分」

    また遺言を残したとしても、相続人に最低限保障される「遺留分」というものもあります。
    法定相続分の中の更に一定割合の部分については、配偶者、子、父母であれば遺言の内容に関わらず相続分を受け取ることができます。

    たとえば、法定相続人が配偶者と子供二人であり、被相続人が遺言書に「全ての財産を配偶者に相続させる」と記載した場合。
    子供が遺留分を受け取りたい旨の請求(遺留分減殺請求といいます)を行えば、相続財産のうち12.5%を受け取る事ができます。
    相続財産が1億円だったとすると、子供が最低限受け取れる相続財産は1,250万円という計算です。
    (ただし、1年以内に減殺請求をしなければ遺留分は失効してしまう点に注意しましょう)

    あらかじめ相続財産の全体像を把握し、遺留分に配慮をした遺言書を残す事が大切です。



    ・遺言を作成する際の注意点

    上記の様な例外に配慮せずに遺言を作成し、せっかく遺言を残したのに本人の意に反する結果になってしまうというのは避けたいところですね。

    そのために、遺言を作成する際には以下の点に特に注意をしましょう。

    1、付言事項を必ず書き残す
    遺言には「付言事項」といい、被相続人の想いを書き記す部分があります。
    たとえば「配偶者に全ての財産を残す」様な極端な内容の遺言を残すのであれば、「自分の亡き後、配偶者の生活を保障したい。子供二人は経済的に自立していると信頼している」といったような、自分の「想い」を「付言事項」として書き加えることにより、トラブルの発生確率をぐっと下げることができます。

    2、相続財産は常に把握しておく
    遺留分への配慮や相続税の計算には、相続財産の把握は欠かせない要素です。
    しかしながら、金融資産の増減や不動産の評価の変化など、時間の経過で財産総額は刻々と変化していきます。
    一度遺言を作成しても安心せず、定期的に財産のたな卸しをするようにしましょう。

    3、解釈のわかれる曖昧な表現はしない
    たとえば特定の不動産の承継人を指定したい場合、その不動産については確実に特定できるよう、登記簿に記載されている通りの記載方法で書きましょう。
    遺言の解釈をめぐりトラブルが発生しては元も子もありません。自信がない場合には、必ず司法書士等の専門家に内容を確認してもらいましょう。


    ページ作成日 2018-05-21