相続税算出の基準となる路線価とは?どう決まっているの?


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  • 相続税算出の基準となる路線価とは?どう決まっているの? 2019-07-15


     今年も7月1日に国税庁から「路線価」が公表されました。
    この路線価は相続税、贈与税の計算基準となる重要な数字です。路線価の決まり方や確認方法、公示価格との関係などをまとめました。

     路線価は厳密には「相続税路線価」と「固定資産税路線価」に分かれますが、毎年概ね7月1日に公表される路線価とは、相続税の計算をする上で必要になる土地の評価額を算出するために用いられます「相続税路線価」です。
     なぜ路線の価格かと申しますと、土地の時価は全て異なることが原則ではありますが、全ての土地の時価を計算するのは煩雑となるからです。
    そこで土地の時価はその立地による利便性が大きく影響するとして、前面に通っている道路(路線)に1㎡あたりの価格を設定し、その道路に接している土地を評価しているのです。
     もしも家族が今年の1月に亡くなった方は10月には相続税の申告をしなければなりません。そうなりますと、相続税算出の基礎となる相続税路線価は遅くとも7月ぐらいには公表しないと、相続税の計算が間に合わなくなります。なお、1月に亡くなられても12月に亡くなられても同じ路線価を使います。

     路線価の評価時点は毎年1月1日。地価公示価格、売買実例価額、不動産鑑定士等による鑑定評価価額、精通者意見価格等を基に決められます。公示地価と同じ決定方法です。
    つまり、専門家の意見を聞きながら、税務署のほうで不公平にならないように決めるわけです。そして、相続税路線価は公示地価の8割程度を水準に決められています。
     専門家から「7月にならないと路線価が発表されないので、それまでは相続税を計算できない」などと言われることもあるかと思います。
    しかしながら、公示価格は4月に発表されていますので、これを参考に路線価の予想がつき、概算計算は可能です。むしろそうしないと、1月に相続が発生した方は、分割協議の時間や納税方法の検討の時間がなくなってしまいます。

     相続税路線価の決定は1月1日の基準で、毎年に1回だけと決められていますが、相続の発生というのは1年中どこでも起こり得る事態です。
    もし、1年の間に地価が暴落してしまった場合、相続発生したときの時価評価と比べて、相続税路線価のほうが高くなってしまうという恐れがあります。
    そうなってしまったら、税金を余分に徴収することになりかねないので、相続税路線価を公示地価の8割程度に設定することで、暴落してしまった場合もある程度の変動にも対応できるようになっているのです。

     これに対しまして、「固定資産税路線価」とは固定資産税の算出の基礎となるものです。
    固定資産税は地方税になるので、固定資産税路線価は市町村に決定権があり、3年に1回、1月1日時点の価格を4月ごろに公表することになっています。
     なぜ公示地価や基準地価、相続税路線価とは違い3年に1回になっているかというと、これは固定資産税の評価替えが3年ごとに行われているからです。
    固定資産税路線価は、相続税路線価と同じように標準宅地の価格は売買事例から適正価格を求める方法を取られていますが、大体は不動産鑑定士の鑑定評価や公示地価の7割程度に設定されるようになっています。 
     なぜ公示地価の7割程度に設定されるのかと言いますと、これは相続税路線価と同じ理由で、急激な土地の暴落に対応するためです。
    特に固定資産税路線価は3年に1回の更新のため、相続税路線価よりも低く設定されているのです。

     なお、相続税路線価は無料で確認することができ、国税局のホームページには、「路線価図・評価倍率表」というページがありますので、そこから確認することもできます。最近では各地の主要な図書館でも閲覧ができるようになっています。


    ページ作成日 2019-07-15